労務管理セミナー実況中継

企業のメンタルヘルス対策:③復職規定のポイント

◆企業のメンタルヘルス対策:③復職規定のポイント ~事業主&人事担当者向け~

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 復職規定の具体的な記載例を紹介します。

 休職規定のポイントの中で最も重要なものが「復職」部分です。復職部分について、記載例を具体的に説明します。

 (従業員の立場で見ると)少し厳しめに記載しています。

 考え方として、想定できるものは全て就業規則に記載しておくことをおすすめします。その上で、状況に合わせて臨機応変に対応します。

 就業規則に記載していないことについて、いざその状況になったときに、従業員から「いやだ」「知らなかった」「聞いていない」と拒否され、トラブルに発展するのは困りますので。

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 ポイントは、復職できるのは「会社が認めたとき」とすることです。

 復職できるかどうかは、従業員本人が判断するものではありません。ましてや主治医が判断するものでもありません。あくまでも判断の主体は会社である旨を明記します。

 一般的に主治医の診断は患者寄り(従業員寄り)になりがちです。客観的な判断を仰ぐためにも、主治医の診断のみでなく、会社が医師を指定できるように記載します。

 また、どういう状態になれば復帰できるのか、という治癒の定義を明確にします。治癒とは病気になる前の業務ができる状態であることを明記します。

 主治医の診断が患者寄り(従業員寄り)になる理由のひとつとして、主治医は、会社の状況や、その従業員の実際の業務を知らないことがあげられます。

 その従業員の実際の業務内容を説明し、本当に復帰させて大丈夫なのか、その業務に耐えられるのか、ということを、主治医に直接面談し、確認する必要があります。

 ただし、主治医との面談には、ご本人の同意が必要であるため、その協力要請を記載します。

 主治医の診断書とは別に、会社が指定する専門医の診断も受けていただく必要が出てきます。

 会社はこれらの情報を総合的に判断し、復職の可否を決めることと規定します。

 復職後は、休職前と同じ業務に復帰させることが理想ですが、そのようにいかないケースもあり得ます。

 本人の状態、又は、会社の状況によって、休職前と異なる業務で復帰させることがある旨を記載しておきます。

 復職後に、休職前と異なる業務に就いた場合に、業務によっては、役職や給与額が変わることが十分考えられます。そこで、復職後の業務に応じた役職や給与額に変更されることがある旨を記載します。

 復帰後の業務によっては、当然、役職が下がったり、給与額が下がったりすることがある、という考え方です。

 その他に、社内で復職審査会を実施して復職可否を決めるとか、外部の専門家(専門医・カウンセラー)の意見を聞くとか、リワーク(復職支援)施設を活用すること等も、会社の制度として、就業規則に記載しておくとよいでしょう。

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企業のメンタルヘルス対策:②就業規則・休職規定の5つのポイント

◆企業のメンタルヘルス対策:②就業規則・休職規定の5つのポイント ~事業主&人事担当者向け~

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 休職中の従業員から復職可能である旨の診断書が提出された。会社としては、まだ復職は難しいと思う。どのように対応したらいいか!?

 最も相談が多い、かつ、一歩間違えると大きなトラブルに発展しやすい内容です。

 企業のメンタルヘルス対策において、就業規則(主に休職規定)を最新かつ最先端の状態にしておくことは必須です。

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 今回は、就業規則について、具体的なポイントを整理します。

 休職に入るときの規定です。

 いったい、何月何日から休職に入るのか・・・?

 病気になったら、まずは、年次有給休暇を消化して、その後、(給料が出ない)欠勤に入る、その欠勤が○日続いたら休職・・・という考え方が一般的と思います。

 福利厚生措置として、傷病休暇等をとれる会社もあると思います。

 この件、意外にわかりにくい規定が多いのです。傷病休暇や年次有給休暇の取り扱い、欠勤の具体的なカウント方法等を、会社と従業員との間で、誤解のないように明確に規定しておくことがポイントです。

 休職中の取り決めをしっかりしておきます。

 休職中といえども当社の社員である、休職とは療養に専念する期間である・・・!

 休職中に給料を払うのか払わないのか(支払わない会社がほとんどと思いますが)、

 また、休職期間は勤続年数にカウントするのか否か(勤続年数は、退職金や賞与の査定等に関係してきますので)ということも。

 さらに、休職中の、会社との連絡方法を決めておきます。(連絡をとる頻度や方法、面談の内容、医師の診断書の要否とか、会社の誰と連絡をとる等)

 さらに、休職の通算規定を入れます。

 何とか復職したが、復職後すぐに具合が悪くなってしまい、また休むことになってしまった・・・

 このような状態を繰り返すことは、ご本人にとっても、会社にとっても、決してよいことではありません。

 こんな時のために、休職期間を前のものと後のものを通算するための規定を入れておくことがポイントです。

 最も重要なのが復職部分です。

 従業員から復職可能な診断書が提出されたが、会社としてはまだ無理だと思うが・・・

 その根拠として、復職の定義や、復職の判断基準を具体的に明確にしておくことが歩印tのです。復職の可否を判断する場合は、外部の専門家の意見ををおおいに活用します。

 社内に復職審査会を置くとか、外部の専門医の意見を聞くとか、リワーク(復職支援)施設を活用する・・・等を入れるのもおすすめポイントです。

 さらに、他の規定との整合性をチェックします。

 休職規定と他の規定が矛盾している・・・!?

 休職規定のみ整えて安心してはいけません。最終チェックとして、他の関連規定との整合性をみることが必要です。

 例えば、年次有給休暇や傷病休暇との関係、欠勤したときの診断書提出の規定、(無断)欠勤と懲戒規定との関係・・・など、他の規定と矛盾がないかどうかチェックし、整合性をとっておくことがポイントです。

(続く)

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企業のメンタルヘルス対策:①基本的な考え方

◆企業のメンタルヘルス対策:①基本的な考え方 ~事業主&人事担当者向け~

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 従業員がいきなりうつ病等の診断書を提出してきた!会社としてどのように対応すればいいのか・・・

 最近、このようなご相談が確実に増えています。

 我社にはうつ病等の精神疾患者はいないよ!、とか、我社のような中小企業は関係ないよ!、という方、それは今、たまたま御社にそのような方がいないだけです。将来確実に、皆さんの周りにもそのような問題は発生すると考えて下さい

 よって、今や、企業のメンタルヘルス対策は必須です

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 さて、企業のメンタルヘルス対策の基本的な考え方をお話します。

 最も重要な考え方は、「従業員に安心感を与える!」ということです。

 病気になった従業員はもちろん、他の従業員に対して、万一自分が病気になったときに、会社はこんなふうに対応してくれる、という安心感を持ってもらうことです。

 従業員が会社に安心感を持ってくれることは、モチベーションや作業の生産性、トラブル防止等の観点から、会社の多くの利益につながります。

 次に、「従業員とのトラブルを防止する」ということです。

 従業員が病気になったときの対応について、誰でもわかるように、明確にしておく必要があります。(就業規則等に明確に記載します。)

 いざというときに、会社の主張と、従業員の主張が異なってしまうような、誤解を招くような決め方は避け、無用なトラブルとなることを防がなければなりません。

 さらに、会社の立場として考えたときに、「会社のリスクを回避する」状態にしておく必要があります。(いちおう私たちは、会社の立場の人間という前提で、以下、お話します。)

 最悪、従業員ともめてトラブルとなった時に、最低限、会社を守れるようなしくみにしておくべきです。

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 具体的に、皆様が行うべきことは2つです。

 ひとつは、就業規則・休職規定を、最新・最先端の状況に整備しておくことです。これは、最低限の必須事項とお考え下さい。

 ふたつめは、第三者(外部の専門家)を活用することです。

 精神疾患者の対応を、社内で行おうとすると、とても大変です。病気の知識もないため、たいへんな気を遣います。対応する事業主さんや人事担当者の方のストレスも大きなものがあります。

 そこで、問題を社内でかかえずに、外部の専門家たちを有効に活用しよう、というわけです。

 外部の専門家とは、労務管理の専門家である社会保険労務士はもちろん、専門の医師、臨床心理士等のカウンセラーリワーク(復職支援)のための施設等です。

 これからの皆様の企業のメンタルヘルス対策は、最低限の就業規則(休職規定等)を整備した上で、外部の専門家を積極的かつ有効に活用することに他なりません

 そうすることにより、社内の事業主さんや人事担当者の負担を軽くし、かつ、病気となった従業員の職場復帰(又は退職)をスムーズに行う・・・結果として、従業員に安心感を持ってもらうことにつながります。

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社会保険料節減セミナー 4③

◆社会保険料節減セミナー「4月昇給と7月昇給の比較」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 基本給30万円の方が、1万円昇給した場合、4月昇給と7月昇給を比べます。

 ◆4月昇給の場合・・・

 月変にあてはまらないので、7月に社会保険料の変更はありません。算定の手続きにより、9月から社会保険料が上がります。

 ◆7月昇給の場合・・・

 月変にあてはまらないので、10月に社会保険料の変更はありません。算定の手続き時(4月から6月)は昇給前なので、9月からの社会保険料は上がりません。

 この場合の社会保険料が上がるのは、次の算定からであり、翌年の9月からです。

 7月昇給は、1年分社会保険料が上がらなくてすむ!という考え方ができます。

 皆さんの会社で、昇給時期の変更が可能であれば、検討の価値がおおありです!

(続く・・・)

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社会保険料節減セミナー 4②

◆社会保険料節減セミナー「昇給時期を7月にしよう!」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 基本給30万円の方が、1万円昇給した場合です。先ほど(記事3③1月に昇給した場合)は、昇給しても月変は不要であり、社会保険料は上がらない!という結論でした。

 今回は、その昇給が1月ではなく、4月であった場合です。

 4月から6月までの3ヶ月平均は31万円、等級表にあてはめると標準報酬月額は32万円です。

 月変にはあてはまりません。2等級上がっていませんので。

 4月から6月までの3ヶ月平均で、普通に算定手続きを行います。

 月変ではなく、算定手続きにより、この方の標準報酬月額は32万円となり、9月からの社会保険料が上がります。月2,500円ほど上がってしまいます!!

 (記事3③と)同じ金額の設定であるのに、1月昇給と4月昇給は異なります。4月昇給である、というだけで、社会保険料が上がってしまうのです・・・!

(続く・・・)

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社会保険料節減セミナー 4①

◆社会保険料節減セミナー「昇給時期を7月にしよう!」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 これまでのおさらいです。

 算定は、4月から6月の報酬額の平均により、その年の9月から社会保険料が改定される・・・

 月変は、昇給後3ヶ月間の報酬額の平均により、(月変要件にあてはまれば)4ヶ月目から社会保険料が改定される・・・

 では、この2つをうまく組み合わせて、最も有利な昇給時期をチェックしましょう!

(続く・・・)

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社会保険料節減セミナー 3④

◆社会保険料節減セミナー「昇給後3ヶ月間の残業代等を減らそう!」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 実は、こういうケースがやばい(!?)のです。

 これまで基本給30万円、標準報酬月額30万円であった方が、1万円昇給しました。ここまでは先ほど(前記事3③)と同じです。

 今回のケースは、昇給後の1月から3月まで、たまたま、残業を多く行い、残業代として月3万円支給された場合です。

 この場合の1月から3月までの報酬平均は、34万円です。標準報酬月額も34万円です。

 30万円から34万円へ上がると、等級表で2等級上がっています。(他の要件を満たすものとして)よって、月変の対象となります。

 結果として、月変の手続きにより、4月から社会保険料が約5,000円上がってしまいます・・

 残業代に限らず、歩合給、成果給・・・何でも同様です。

 月変の要件は、「固定的賃金の変動」で、基本給的なものが変動したかどうかで判断します。

 しかし、報酬を平均し、2等級以上上がったかどうかチェックするのは、残業代等も含めた総支給額です。

 要は、たとえたった1,000円の昇給であっても、残業代やら何やら他のものが多く払われ、その結果2等級以上上がってしまうと、月変となり、社会保険料が上がってしまうのです!

 よって、昇給後の3ヶ月間も、算定(4月から6月)と同様です。残業代や他の支給を極力減らそう!というのがポイントです。

(続く・・・)

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社会保険料節減セミナー 3③

◆社会保険料節減セミナー「昇給後3ヶ月間も残業代等を減らそう!」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 12月まで基本給が30万円、標準報酬月額も30万円の方が、1月から昇給しました。1万円昇給しました。

 昇給後3ヶ月間、つまり、1月から3月までの報酬平均は、31万円です。これを標準報酬等級表にあてはめると、標準報酬月額32万円です。

 この場合、この方の標準報酬月額は、32万円になりません!社会保険料は上がりません!

 なぜならば、標準報酬月額が30万円から32万円というのは、1等級しか上がっていないからです。

 標準報酬月額(=社会保険料)が上がる手続きは、2等級以上上がっていなければ、行われないのです!

 よって、この場合は、1万円昇給したにもかかわらず、月変手続きによって社会保険料は上がりません。

(続く・・・)

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社会保険料節減セミナー 3②

◆社会保険料節減セミナー「社会保険料のしくみ・月変」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 昇給した場合、昇給後の3ヶ月間の報酬平均が、一定の要件を満たせば、昇給4ヶ月目からの標準報酬月額(=社会保険料)が改定されるしくみがあります。これを「月変」といいます。

 一定の要件とは、①固定的賃金が変動すること、②2等級以上変動すること、③基礎日数が17日以上であること、です。

 この3つの要件を全て満たしたときに、標準報酬月額(=社会保険料)が変更されます。

 昇給のみでなく、降給も同様です。

 「①固定的賃金が変動すること」について

 固定的賃金とは、基本給や、役職手当、家族手当等をいいます。残業代等の変動的なものは固定的賃金とは言いません。

 「②2等級以上変動すること」とは

 言い方を変えれば、たとえ昇給しても、2等級以上変動しなければ、社会保険料は上がらない!という意味です。

 「③基礎日数が17日以上あること」とは

 例えば、昇給したが、欠勤が多く、1ヶ月につき給与を支給する基礎日数が、17日未満であった・・・等の場合は、月変は行わない、という意味です。

(続く・・・)

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社会保険料節減セミナー 3①

◆社会保険料節減セミナー「昇給後3ヶ月間も同様である!」

◆このセミナーは、平成23年1月に、社会保険労務士法人ケーズインテリジェンスが行った社会保険料節減セミナーを実況中継したものです。

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 社会保険料節減のポイント3つ目にいきます。

 昇給すると、その後、随時、社会保険料を見直す手続きを行います。これを月変(随時改定)といいます。

 一定の要件にあてはまった場合に、月変という手続きにより、標準報酬月額を見直し、結果として、社会保険料を見直すことを行います。

 昇給のみでなく、降給も同様です。

(続く・・・)

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