労働契約法法改正 雇止め法理 日立メディコ事件
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労働契約法の改正において、雇止め法理が法定化され、
以下の①か②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、
従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されます。
①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると
認められるもの
②労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することに
ついて合理的な理由があると認められるもの。
前回のブログで①のもととなった東芝柳町工場事件をご説明しましたが、
今回は②についてです。
②の有名な判例は、最高裁昭和61年12月4日第一小法廷判決(日立メディコ事件)です。
この判決は、
独立採算の工場の人員を削減する必要があり、余剰人員を他の事業部門へ配置転換する余地もない場合に
当初20日間の期間を定めて雇用し、その後期間2ヶ月の労働契約を5回にわたり更新してきた臨時員に対する
雇止めの効力に関する判決です。
同判決では、臨時員は、季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のために雇用されるものではなく、
その雇用関係はある程度の継続が期待されていたものであり、上告人との間においても5回にわたり契約が更新されている
ため、このような労働者を契約期間満了によって雇止めにするに当たっては、解雇に関する法理が類推されるとされました。
ただし、結果的には、
右臨時員の雇用関係は比較的簡易な採用手続で締結された短期的有期契約を前提とするものである以上、
雇止めの効力を判断すべき基準は、いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を
締結しているいわゆる本工を解雇する場合とは合理的な差異があるべきであるとし、雇止めを有効としています。
有期労働契約が反復更新されて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない場合は
解雇に関する法理が類推され、雇止めには合理的な理由が必要となりますが、
雇止めの効力を判断するための基準として、正社員を解雇する場合と臨時員とでは合理的な差異も認められるため
雇止めは有効となったわけです。
労働契約法19条の第2号には、
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が
当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の
申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と
同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
二 当該有期労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待
することについて合理的な理由があるものであると認められること。
と定められていますが、これは日立メディコ事件の要件を定めたものになります。
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