労働契約法法改正 雇止め法理 東芝柳町工場事件
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労働契約法の改正において、3つの重要ポイントは以下です。
1.無期労働契約への転換
2.雇止め法理の法定化
3.不合理な労働条件の禁止
今回は2の雇止め法理の法定化についてです。
有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときに、契約期間の満了により雇用関係が終了します。
これを「雇止め」といいます。
雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする
判例上のルール(雇止め法理)が確立しています。
今回の改正により、判例上のルールが労働契約法に条文化されることとなりました。
以下の①か②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、
従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されます。
①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると
認められるもの
②労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することに
ついて合理的な理由があると認められるもの。
上記に関してはそれぞれ代表的な判例があります。
①については、最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)です。
この判決は、契約期間を2ヵ月として労働契約書を締結して雇用された、基幹臨時工の雇止めに関する判例です。
同判決の概要ですが、
・従事する仕事の内容・種類が本工と差異がない
・他の期間臨時工が2ヵ月の期間満了によって雇止めされた例はなく、
自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたって継続雇用されている。
・採用に際して、長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があった
・契約更新に当たっては、必ずしも契約期間満了の都度、直ちに新契約締結の手続きをとっていない
その本件労働契約の判決の要旨は以下です。
・当事者双方ともいずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であった
・期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していた
ものといわなければならず、本件各雇止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたので
あるから、実質において解雇の意思表示にあたり、解雇に関する法理を類推すべきである。
労働契約法19条の第1号には、
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が
当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の
申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と
同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、
その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、
期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない
労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
と定められていますが、これは東芝柳町工場事件の要件を定めたものになります。
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