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2013年3月

労働契約法法改正 雇止め法理 東芝柳町工場事件

◆労働契約法法改正 雇止め法理 東芝柳町工場事件

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労働契約法の改正において、3つの重要ポイントは以下です。
1.無期労働契約への転換
2.雇止め法理の法定化
3.不合理な労働条件の禁止
今回は2の雇止め法理の法定化についてです。

有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときに、契約期間の満了により雇用関係が終了します。
これを「雇止め」といいます。
雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とする
判例上のルール(雇止め法理)が確立しています。

今回の改正により、判例上のルールが労働契約法に条文化されることとなりました。

以下の①か②のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めが認められず、
従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されます。
①過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると
認められるもの
②労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することに
ついて合理的な理由があると認められるもの。

上記に関してはそれぞれ代表的な判例があります。
①については、最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決(東芝柳町工場事件)です。

この判決は、契約期間を2ヵ月として労働契約書を締結して雇用された、基幹臨時工の雇止めに関する判例です。
同判決の概要ですが、
・従事する仕事の内容・種類が本工と差異がない
・他の期間臨時工が2ヵ月の期間満了によって雇止めされた例はなく、
 自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたって継続雇用されている。
・採用に際して、長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があった
・契約更新に当たっては、必ずしも契約期間満了の都度、直ちに新契約締結の手続きをとっていない

その本件労働契約の判決の要旨は以下です。

・当事者双方ともいずれかから格別の意思表示がなければ当然更新されるべき労働契約を締結する意思であった
・期間の満了毎に当然更新を重ねてあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していた
ものといわなければならず、本件各雇止めの意思表示は右のような契約を終了させる趣旨のもとにされたので
あるから、実質において解雇の意思表示にあたり、解雇に関する法理を類推すべきである。

労働契約法19条の第1号には、
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が
当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の
申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と
同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、
その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、
期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない
労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

と定められていますが、これは東芝柳町工場事件の要件を定めたものになります。

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労働契約法法改正 クーリングとは

◆労働契約法法改正 クーリングとは

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労働契約法の法改正により、
有期労働契約が繰り返し更新されて5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、
期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールとなりました。

以前、1年単位の契約期間を5回更新して5年を超えた例を説明しましたが、
無条件で過去の契約期間を通算できるというものではありません。
ここで重要な考え方がクーリングというものです。

有期労働契約とその次の有期労働契約との間に、契約がない期間が6ヶ月以上あるときは、
その空白期間より前の有期労働契約は通算期間に含めないことになります。

次の契約までに6ヶ月以上間をあけてしまうと、契約期間の通算がリセットされることになってしまうのです。
これをクーリングといいます。


1


一方、次の有期労働契約との間に、契約がない期間が6ヶ月未満であれば、
前後の有期労働契約期間は通算することができます。

Photo

このクーリングには例外もあります。
上記例はカウントの対象となる有期労働契約の契約期間が1年以上の例ですが、
カウントの対象となる有期労働契約の契約期間が1年未満の場合は、
その契約期間に応じて、クーリングに必要な期間も変わります。
それがこちらの表です。

Photo_2
クーリングに必要な期間は表をご確認いただくとわかりますが、
空白期間が6ヶ月未満であっても、契約期間の通算がリセットされることになるので注意が必要です。

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労働契約法改正の具体的対応(3)

◆「有期契約社員5年超えは無期転換に!」の対応とは?

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3

労働契約法改正の対応(1)(2)において、労働契約法改正対応として、(1)皆さまの会社における従業員区分を決めること(2)従業員区分ごとに労働条件・処遇を決めて就業規則に整備することが必要であることをお伝えしました。

労働契約法改正対応(3)として、正社員登用制度をおすすめします。

今回の改正により有期から無期契約に転換された従業員は、無期契約に転換されたとはいえ、いわゆる正社員とは違います。社内では、いわゆる正規社員とは異なり、「非正規社員」扱いとします。

ただし、そのような非正規社員である従業員の中には、正社員(正規社員)になりたい!と考える従業員もいるはずです。

そのような従業員に対して、正社員登用のチャンスを与えることをおすすめします

もちろん、登用の条件を決め、筆記試験・面接試験を行い、それを通った人が晴れて正社員になれるという制度です。

正社員になりたい従業員のすべてを登用することはできませんし、会社にその義務もありません。

正社員登用の道(チャンス)を平等に開くことがポイントです。

会社としても、正社員となりうる優秀な人材を確保できるわけですので、十分メリットがあります。

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労働契約法改正の具体的対応(2)

◆「有期契約社員5年超えは無期転換に!」の対応とは?

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2

会社としての具体的対応(1)にて、皆さまの会社内の従業員区分をいくつ作るかを決めるべきであることをお伝えしました。

皆さまの会社内の従業員区分を決めたら、次のステップとして、その区分の数だけ、就業規則を作成することです。

5つの従業員区分を設けたら、5種類の就業規則を作成する、という意味です。

もちろん、その内容(処遇・労働条件)は、それぞれ異なるものを、です。

全く異なる内容はありえないので、少しずつ異なるものを作成します。

・・・・・・・・・・

例えば

採用の手順が異なる・・・

職務の内容が異なる・・・

異動や転勤の処遇が異なる・・・

給与体系が異なる・・・

賞与の支給方法が異なる・・・

退職金の適用が異なる・・・

・・・・・・・・・・

それは面倒だ 大変だ とお考えかもしれません。

しかし、今回の法改正対応において、従業員とトラブルを起こさない、会社のリスクを回避するという観点で、ココが最も重要なことです。

区分ごとに内容(処遇)を変えて、それぞれに就業規則を作成すべき理由は、労働契約法の他の改正と絡みます。

雇止め法理の法定化 対策

不合理な労働条件の禁止 対策

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労働契約法改正の具体的対応(1)

◆「有期契約社員5年超えは無期転換に!」の対応とは?

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Photo

この図が、法改正対応後の皆さまの会社の社員区分のオールスターキャストです。

労働契約法改正の対応の第1ステップは、5種類の区分の中で、「あなたの会社ではどの従業員区分をとるか」を決めることです。

ご存じの通り、平成25年4月1日より労働契約法改正により、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない契約(無期労働契約)に転換しなければならないこととなります。

そのための対応方法を整理しました。

・・・・・・・・・・

ステップ

社内にいる有期労働契約者をリストアップします。

 ◆フルタイムの有期労働契約者

 ◆パートタイムの有期労働契約者

 ◆その他

ステップ

会社としての方針を決めます。対応の選択肢は2つです。

 ◆絶対に通算期間5年を超えさせない

 ◆5年を超えて本人からの申込みがあれば無期契約に転換する

ステップ

社内にいる有期労働契約者ごとに方針を決めます。

 ◆例えば、フルタイムの有期契約者に対して、①②いずれの取り扱いとするか?

 ◆パートタイムの有期労働契約者に対して、①②いずれの取り扱いとするか?

ステップ

最終的に、図①~⑤の、会社としてどの従業員区分を設けるのかを決めます。

・・・・・・・・・・

ポイント

これまで有期労働契約者だった従業員が、通算5年を超えて無期契約に転換したとしても、いわゆる「正社員」になるわけではありません。

正規社員と非正規社員の法的な明確な定義はないのですが、有期から無期に転換された従業員は、社内ではあくまでも「非正規社員」扱いで問題ありません。

正社員と処遇(賃金や、人事異動、仕事の範囲、責任度合、その他)が異なっても問題ありません。

むしろ、正社員と明確に処遇を変えて、非正規社員としての活用をすすめるべきです。

有期労働契約のパートタイマーについても、通算5年を超えて、本人の申し出があれば、無期契約に転換しなければなりません。

(2)に続く・・・

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労働契約法法改正 会社の対応 いつ無期転換の申し込みができるか

◆労働契約法法改正 会社の対応 いつ無期転換の申し込みができるか

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労働契約法とは、労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。
平成24年8月10日に「労働契約法の一部を改正する法律」が公布され
有期労働契約について、労働契約法に下記の3つのルールが規定されました。

1.無期労働契約への転換
 ⇒有期労働契約が繰り返し更新されて5年を超えたときは、労働者の申し込みにより、
 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール
2.雇止め法理の法定化
 ⇒一定の場合には、使用者による雇止めが認められないルール
 
3.不合理な労働条件の禁止
 ⇒有期契約労働者と無期契約労働者との間で、不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール
 

今日はこのうち、1.無期労働契約への転換についてです。

同一の使用者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申し込みにより、
無期労働契約に転換します。

ただし、通算契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象です。
平成25年3月31日以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間には含まれません


それではいつ無期転換の申し込みができるのでしょうか?


★労働契約が1年単位の場合

Photo_2
★労働契約が3年単位の場合

Photo_3

★労働契約が5年単位の場合

Photo_5


平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、
その契約期間の初日から末日までの間に、無期転換の申込みをすることが可能です。
※申込みに関しては権利であり、するかどうかは労働者の自由です。

Photo_4

無期転換の申込み(①)をすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約(③)がその時点で成立します。無期に転換されるのは、申込み時の有期労働契約が終了する翌日からです。

それならば、使用者側としては②時点で雇用を終了させれば問題ない。と考えることと思います。
しかし、②時点で使用者が雇用を終了させようとする場合は、無期労働契約を解約(解雇)する必要がありますが、
「客観的に合理的な理由を書き、社会通念上相当と認められない場合」には、権利濫用に該当するものとして
解雇は無効になるので注意が必要です。

有期労働契約時に更新についての定めなどは労使間で十分に確認しておくことが重要になります。


法改正情報についてのセミナー情報はこちら!

http://ksjinjiromu.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-d877.html

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高年齢者雇用安定法 労使協定の締結期限

◆高年齢者雇用安定法 労使協定の締結期限

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平成25年4月1日の高年齢者雇用安定法の法改正施行日まであと1ヶ月を切りました。

事務所では、就業規則の改定作業の真っただ中です。

皆様の会社では対応は完了してますか?

今回の法改正により、60歳定年を定め、その後の雇用については会社独自の基準を設けていたとしても、
平成25年4月1日以降は原則として希望者全員を継続雇用しなければならなくなります。
従来は、労使協定で定めた「継続雇用の対象者の基準」をクリアした従業員だけが継続雇用の対象となっていたと
しても今後はその基準が使用できなくなるということです。

ただ、この扱いには経過措置が設けられており、60歳以上の定年退職者が一定の年齢(特別支給の老齢厚生年金を
受給できる年齢)に達したところから、従来と同様に「継続雇用の対象者の基準」を適用できます。
この労使協定は、平成25年3月末までに締結する必要があります。

あと1ヶ月をきっているので未対応の会社は急いで進めましょう!

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